夜更かし
悪いのは、夜が更けても、夜が更けているような気がしないことである。
夜更かしが悪いとは言わない。夜更かしにはかならず、夜が更けていくとともに感じる外界の静けさや、空の漆黒や、心許なさが伴うもの。しかし今の世の中、テレビや電灯は更ける前の夜と全く同じように稼働する。24時間、ケータイの向こう側はいつも同じ姿を見せる。それらとともに過ごす時間の中では、全く自分が夜更かししているような気がしないのだ。
だからいつまでたっても、どんだけ時間が遅くとも自分が罪深い夜更かしをしていることに気づかない。より正確には、時計の針を見ても実感が伴わない。
明日早起きできるかな。
しなきゃ。
頭の中は、ぐーるぐる。少し卑猥なことが。おっぱいのゆれが。
ああ、しあわせとは。
まいったな、しあわせについてなんて考えだすと、それはもう無限に続く大海原。風が吹いては向きを変え、進んだと思えば同じ場所。しあわせについて考えることは、もはや不幸に近いのだ。
きっと目指すは日常。日常に励んでこそ非日常が映える。寝るのも日常、起きるのも日常。そんな日常を、ともに。
起きて寝るのは幸せか。じゃあ不幸せとはなんだ。起きないか、寝ないか。
これはきっと。。。不幸せ。共倒れだ。